「言われたことしかできない」という批判は「指示した業務に限らず、自分で考えて仕事をどんどん前に進める」という仕事のスタイルを前提としています。
しかしこの理屈、経験不足の人にとっては、自分の好きなように仕事を進めていいのか、自分のわかる範囲で仕事を進めればいいのか、というニュアンスが難しいところです。
その上、本人に言わせれば「他にやってほしいことがあるんだったら言ってくれよ」「指示内容が曖昧なのが悪いんじゃない?」と言った主張もありますよね。
しかし、世間の一般的な会社は、仕事ができない人に給料を払う余裕のある会社は別として、社員には1日でも早く一人前になってほしいと普通に思っています。
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「言われたことしかできない」って言うけど、上司の指示の出し方が問題ではないのか?
正直な話「言われたことしかできない」「言われたことしかやらない」という言葉が出てくるような職場は、その本人にも上司にも、両方に問題があるパターンが多い傾向にあります。
一概に、怒られた本人が悪いとは言えず、上司が、経験の浅い部下と同じ目線に立って指示を出せずに、言葉足らずなのは、できない上司の代表例です。
だからと言って、上司のせいにもしてられません。人のせいにしても何も変わらないからです。上司のレベルが上がるのを待っていたら日が暮れます。
そういう上司は今までもそうして部下を教育してきたパターンが多く、年をとるにあたって積み重ねてきた実績や経験をゼロからスタートさせるのはかなりの労力と時間が必要です。人間というのはそういうものです。
では、なぜできない上司は部下と同じ目線でものを見れないのでしょうか。なぜ部下に上手に教育できないんでしょうか。
それは、生きてきた時代が違うからです。
少し前までは(今の中高年の若い頃は、)頑張ってモノを売り込まなくても、モノがたくさん売れました。商品が多少中途半端で、営業マンが適当な事を言っている会社でも儲かっていた時代がありました。
なので、舞い込んでくる仕事をどんどんこなせば会社は利益が出せたので、社員は普通に給料が貰えました。
新人でも、クライアントや顧客にそのまま飛び込んで勢いだけでなんとか仕事が貰えたり、失敗しても「人は失敗して大きくなるんだよ」などという気合い論が当たり前な時代だったからこそ、新人は念入りに教育されなくても、経験だけで自然とキャリアアップし、そのうち管理職に就けたりしました。
今の時代はそういうわけにはいきませんね。消費力が落ち込み競合会社が多く、昔みたいに簡単にモノが売れる時代ではなくなりました。試行錯誤して工夫しないと、仕事はそうそう舞い込んできません。
飛び込み営業をしても大体は無視されるだけ。新人のちょっとしたミスで、大切な顧客に契約を切られることだってあります。
さらに、会社の利益が増えなければ、上司の給料もきっと増えていないでしょう。リストラの不安を抱え、給料が減らされ、売上が伸ばせないことを時代のせいにしている人は山ほどいます。
そんな上司は増々モチベーションが下がり、できない部下にどんな教育をしたら良いが分からず、ただイライラするだけで一向に解決する手立てを見つられずにいます。
なんだか、げんなりしますね。今の時代に仕事で利益を出すのは、本当に難しいことなんです。
この現状を打破し、変えれるのは自分自身でしかないですね。
では、「おまえ、言われたことしかできないな~」と言われることを解決するにはどうしたらよいでしょうか。
「言われたことしかできない」人の原因と解決方法
「言われたことしかできない」人のパターンを心理的要素をふまえ、4つに分類してそこから解決方法を考えてみます。
言われたこと以外にやらなきゃいけないことが分からない人
私も、「言われたことしかやらない」と怒られた体験があります。
【例】
上司「締切時間過ぎてるのに、〇〇会社から納品物が届いてないみたいなんだ。至急確認して」
私「確認しました。まだ発送していないとのことです。」
⇒これは確実に、「で?・・・おまえは言われたことしかやらないな!」と怒られるパターンです。
このような経験のある人が、「言われた事しかやらないな」と怒られる原因は、仕事の目的や背景を理解していないことにあります。
では、仕事の目的や背景を理解するにはどうしたらいいでしょうか?
上司にそのまま聞いても、「忙しいんだよ」と断られたり、上司自身が上手に説明できなかったりするときは、自分で解決するしかありません。
仕事の目的や背景を理解できないのは、相手の立場にたって物事を考えられなかったり、物事に対して想像力に欠けていることも理由に挙げられます。
上司が何に困っているのか、悩んでいるのかを、その人の立場にたって考えてみることです。
そのためには、上司が指示してきた時の、前後には何が起きていたのか、上司はどんな様子かを確認するといいです。
【先ほどの例で考えてみます】
上司「締切時間過ぎてるのに、〇〇会社から納品物が届いてないみたいなんだ。至急確認して」
⇒
・締切時間過ぎても納品がなく、クレームがきていて困っている。
・なぜ納品物が届いてないのか上司はわかっていない
・何時に納品されるのか上司はわかっていない
と上司の状況や社内の状況を把握します。
すると、そこに疑問や課題が見えてきます。
・締切時間すぎてるなら、じゃ何時に届くのか?
・今、何かを対応することで納品時間を早めることができないか?
と課題も見つかりますね。
であれば、指示をもらった本人ができることは(部下である自分が対応すべきことは)、言われたことだけではありません。
納品物が届いていないという現状を報告するだけではなく、現段階では何時に納品物が届く予定なのかを確認したり、納品時間を早くしてほしい旨を伝え、相手に方法はないか聞いてみる、またはその手段を考えるなど次の行動に移せるはずです。
間違えてもらいたくないのは、この状況は決して上司の手助けをしたり手伝っているわけではないということ。
上司が何に困っていても関係ないんじゃないかというのが本音だと思いますが、大切なのは、自分がどういう人間でありたいかということです。
見えてきた課題に対して、正確に対応し行動力に優れている人間のほうがかっこいいじゃん!というだけです。
言われたこと以外の事をやったら「余計なことすんな」と怒られた経験がある人
「言われたことしかやらない」と注意されたので、今度はやってみたら「言われたことだけやればいいんだよ。余計なことするな。」と怒られた体験、私もあります。
【例】
上司「これ、今月も同じ納品数で、クライアントに提出する見積もり作って」
私「見積もり作成しました。仕入れのコストが下がったので、見積もりも値下げして作成しました。ついでにクライアントにも提出しておきました。」
⇒これは確実に、「余計なことすんなよ!」と激怒させるパターンです。
ちなみに、上記の例は、ほとんどの会社で『余計なこと』です。
そもそも数字関係は、上司の確認をもらった上でないと、クライアントや顧客に提出してはいけない会社が多いと思います。
お金の交渉は非常にデリケートな問題ですよね。もっと想像力を働かせれば、これは勝手に提出したら後々面倒くさそうだなと思えます。
このように、余計な事をするなと怒られた経験を持っている人は、今後ますます言われたことしかやらない人に陥ってきます。
上司は、頭を抱えてどう教えていいか分からず「できない部下」のレッテルを貼っていきます。そして、上司自らも知らず知らずの間に「言われたことしかできない」部下を育てあげていきます。
本人は、余計なことをするなと怒られた経験が足かせになって、どうぜ怒られるなら言われたことしかやらないほうがいいという思考パターンになってしまいますね。
本人だけに原因があるわけではないですが、人のせいにしてても何も解決しません。
「余計な事するな」と言われて失敗したことある人は、一度上司に相談し投げかけてみればいいと思います。
- 指示された業務が出されたのはなぜか考える
- 言われたことをする
- 課題を見つける
- 上司に報告する「今〇〇な状況ですが、〇〇するのがいいと思いますがどうでしょうか」
⇒【OKなら行動する、NGなら次の指示を待つでOK】
自分の責任問題が心配なら、見つけた課題とその解決策を提示し、まず上司に投げかけること。
そうすれば、失敗して怒られる前にリスクを排除できますね。
そして、疑問とその解決策を提示した本人は「言われたことしかやらない」自分を脱出できています。
自分の頭で考え、疑問や課題に対して解決策を導き出すのは、重要な事です。決して余計なことではありません。自分の足で、一歩ずつ前に進むことはとても素晴らしいことです。
「他にやってもらいたいことがあるなら言ってくれればいいのに」と思っている人
記事の文頭にも書きましたが、自分の上にたつ人間すべてが完璧な人だとは限りません。
しかも時代の流れの中で、上司は今まで以上に仕事が大変だという現状を身をもって感じていて、他人にかまってる余裕などないのかもしれません。
さらには、できる部下を自ら育てることに躊躇している人もいます。できる部下が増えると、自分が会社にいらない存在にならざるを得ないからです。
それに比べ、20代~30代の人たちは、今のマーケットの需要や流行を敏感に察知でき、日ごろから肌で感じ、どんどん吸収しています。
会社のこれからの未来像やビジョンについていけるのは、中高年のおじさんたちではなく、これから社会を支えていく若年層の人たちです。自分たちの個性やアイデアに自信を持ち、マーケットに発信していくことが求められています。というか、若いからこそ、それができると言っても過言ではありません。
そもそも、たいして教育してくれないような上司がいる場合、期待して何かを求めることはやめたほうが気が楽です。
指示してる内容が曖昧で、言葉の表現が少し下手な上司であれば、こちらからいくつか質問を投げかけ、自分で解決していかなければなりません。それはどこの会社に行っても一緒です。
若い人たちは、まだまだこれからです。人のせいにせず、自分の持っている強みや個性を表現し、自分の人生にどう生かしていこうかと、前向きに考えてみてください。
「言われたことしかやらない」と怒られても、どうもやる気が出ない人
上司に言われたことだけをやっていれば、もし問題が発生した場合でも、自分の責任ではなく「上司に指示されてやっただけ」とスルーできます。それも世渡り上手なので、一概にダメとは言いにくいところはありますね。
しかし、人間は生きていて年をとるだけで、″責任″という面倒なことからはどんどん逃げられなくなってきます。親、子ども、お金、付き合い、仕事、いろんな場面で、自分の価値観を軸にたくさんの″決定と行動”を実行していかなければなりません。
人間は常に、小さな決定と行動を繰り返しています。その延長線上に、仕事があると思えばいいのです。
会社に雇われている現状に満足せず『頑張ってもどうせ給料増えないし、別に頑張る必要ない』『独立をして好きなことをやっていたい』という人もいるでしょう。
独立して好きなことばかりをやるにも、お金を稼ぐならそこには必ずお金をあなたに払っている人がいます。人と関わり合いがない仕事は少ないでしょう。人と関わるなら、自分の自由はそこで必ず限りがでてきますし責任感も必要です。
自分のかっこいい将来のため、今の現状を打破するのに少し戦ってみるのも悪くありません。
まとめ
しかし、「言われたことしかやらないな!」っという決め文句は、言われた本人は非常に嫌な気分になりますよね。言うほうも、言葉の表現の仕方をもう少し工夫したほうがいいんじゃないかとも思います。
あなたが、もし上司になる時がきて、できない部下に教える時はぜひそんな言葉は使わないでください。こうした仕事の経験を積み重ね、自分の影響の輪を広げていくことで、あなたの人生はいい方向へ転がっていくはずです。
努力するのは、会社のためでも上司のためでもありません。自分のために行動してみてください。